10月9日火曜日
埼玉県立近代美術館 日本の70年代 1968-1982
色んな角度から楽しめる様に努力した企画だと感じた。
学生運動。万博。絵画の復権。原点回帰。未来志向。
サイケデリック。アンダーグラウンド。兎に角エネルギーに
満ちた高度経済成長期の日本のアートにまつわる出来事を
紹介した展覧会だと思う。この美術館企画は、あたり外れが
大きいと個人的には思っているが、これは当たりだと思う。
永山則夫が犯罪を犯し、たどったであろう道のりを流す
ビデオに引き込まれる。この日から永山則夫の事、それに
まつわる時代背景、家族、環境、そして現在の状況を考える
時間が増える事になる。それは個々にはそれぞれの事情がある。
決して自由で裕福で、暖かい家族に応援された者だけが、良い
表現者になる訳ではない。むしろ逆境の中から這い上がった
者の作品に心うたれる事が多い様にも感じる。だからと言って
劣悪すぎる環境は、精神を病み切ない悲劇を生む。法を侵した
者、失敗を犯した者、あらゆる意味で健常者では無い者の再起を
与える社会こそが先進国と言えるのではないか?とは言え、私は
死刑制度反対論者ではない。多様化された表現の根底にあるものが
強いコンプレックスでも大いに結構ではないか。
と言いたいだけなのである。だが狭い世界の「ねたみ」や「ひがみ」
は本当に気分が悪くなる。