長崎に帰郷し5日も経つと、まるで自分の高校生の夏休み
の頃の様に自宅でゴロゴロする怠惰な習慣が身に付き路面電車
の音も耳に慣れはじめて自分はここで生まれ育ったと言う事を
体が覚えているんだと確認する。
今年で15歳になるパピヨンもすっかり老犬となり癌が体中に
転移し、歩くのはおろか、呼吸も苦しそうで見ていて辛い。
病院に連れて行くが、獣医の言葉からも、もう長くないから覚悟を
してくれと遠回しに言っているのが解る。
狭い実家の父の仏壇の前で母と老犬アドニスと一緒に昼寝する時間。
こんな穏やかにゆっくりと時間は流れるのかと思う。二人と一匹は
ほぼ同じ角度で「く」の字が3つ並ぶ様にすやすやと眠った。
父親の月命日を母は、「お父さんの日」と呼ぶ。今日は、その
「お父さんの日」なので母親とゆっくり歩いて、すぐ近くの父の
墓参りに行く。父が他界し、もう26年が過ぎようとしているが
母は、もう何度、こうやってお墓参りに行ったのだろうか?少し切なく
なる。午後から母の言う所の「若者の集い」に出かける。ロックフェスで
ある。
僕の様な人間は、母親のそばに長くいると駄目人間になりそうなので
6日間ほどの里帰りが丁度良いと思った。