教会や美術館で作品と出会う時の出会い方は
その後の記憶に残る大事な要素の一つだと思う。
先日、オートバイで
横須賀美術館の
「ブルーノ・ムラーニ」展を見に行った。ムラーニ(1907-1998)
はミラノで生まれ、幼年期、青年期を自然豊かな地方都市で過ごし20歳で
ミラノに戻って来る。そして当時、過激とも言える未来派のグループ
に属したものの徐々にその活動は、デザイン、絵画、彫刻、絵本、
プロダクトデザインと展開されていくところが魅力的である。
「何かを複雑にするのは簡単だが、単純にするのは難しい」と言う
氏の造形にたいする考え方を可視化するためあるいは、自分の失われた
幼年期を取り戻すかの様に、大人にも子供にも楽しく美術の原理を感じられる
装置を数多く生み出してくれた人だと思う。
美術館の目の前に広がる海には、外国籍の大きな船がゆっくりと行き交い
綺麗な海の中を覗くと小さな世界が広がっている。これで良いはずだと自分を
肯定してくれる力が海にはある様に感じた。