空には、ぽっかりと楕円形の月が浮かぶ。
ただただ、絵の具を塗り画面との対話をし
時間があっという間に過ぎる。ふと冷静に
なり一服する。「これではダメだ」と思う。
雑穀米を喰らい、また画面に向かう。
ラジオからふと聞こえて来た言葉に耳を傾ける。
N.Y.在住の映像クリエーターの女性は、言った。
「文化は、不況の時に生まれる」と。
なまぬるい状況より、厳しい時代から生まれて来た
モノは、後世に残ると言う事だろう。
かつて、恩師の画家は、私にこう言った。
「芸術は、お金が集まる所に集まる」とも。
それは、ハプスブルグ家のルドルフ二世の事や
オランダの貿易で栄えた17世紀を指して言ってくれた
言葉だと私は、解釈した。
いずれにせよ、今は自分が信頼できる一本の線を引きたい。
ただ、それだけの為の時間を費やせる事は幸せな事なのかも
しれないと思う。