ゆっくり起きて食事を作って、今日の制作を
考える。
納得出来る部分と何とかしなくてはいけない部分。
手をつけると入ってしまうので、冷静に考える。
結局熱くなって、またつぶす。この繰り返しの中
少しずつ見えて来るモノがある。ここが、所沢ではなく
ミラノのアパートにいる錯覚に落ち入ったり、フェレンチェを
ただ歩いている感覚になったりする。気温と風の匂いが
そうさせるのかもしれない。いや、テレピンの匂いだ。
偶然出来た形をぼんやり眺める、無意識の美しさって
かなわない所がある。解っているが、認めたく無いところも
ある。
シャッターを開けていると、近所に住む人生に迷った若者が
やって来た。以前から僕と話をしてみたかったらしい、画家に
憧れを持つ気持ちは解るが、傍から見てると楽しそうに生きている
様に見えるのだろう。絵を描いて暮らせる時間を持てる幸せを
感じてはいるが、現実は、画面の中ほど楽しくは無い。
そうこうしているうちに朝日が、登ってまた朝が来る。明け方に
集中力を発揮するのは、夜行性の狸が近所に住んでいるからか?