とりわけクラッシック音楽に詳しいと言う訳では
ないが私は、ピアノの音色がとても好きである。そして
勝手にピアニストと画家は孤独な時間を積み重ねる
という意味において良く似ているのはないかと感じていた。
先輩画家の高橋輝夫氏の妻である美奈さんはピアニストで
ある。いや美奈さんの夫が輝夫氏だと言った方が正しい。
その高橋美奈さんのニューイヤーコンサートが代々木の
ムジカーナで開催された。ハイドンに始まりフォーレ
ショパン。現代作曲家の末吉保雄氏のヴァイオリンと
ピアノのためのアラベスク そしてフォーレ。美しくも
力強いピアノの音色に時を忘れる。高橋美奈さんは小柄な
女性であるが、演奏中はとても大きく感じられる。スケール感の
大きなピアニストの演奏を私は、とても楽しみにしていた。
末吉保雄氏の曲は、アラベスク(からくさ模様)と言う通り
音の織りである。まるでモスクの中にいる様であった。
全身全霊をこめて演奏する美奈さんの音を私も全身で
受け止めようと必死になった。おおらかでゆったりとした
豊かな時間はあっという間に過ぎていった。